■溢れる花をあなたに (デンマーク編:2004年 4月17日〜5月14日)

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ジョーク満開の千葉先生は学院長

“この車乗るか?” ノルウェー “咳が堰を切って出る” コンコンコン
発信元は勿論千葉先生。


学院長と言うからには学院がある。
その名は日欧文化交流学院。
フィン島北部、海辺に近いボーゲンセの郊外。 見渡す限りの麦畑と菜の花畑。
その田園に小さなお城のようなたたずまい。
近所の民家と少し違う。昔は小学校だったとのこと。

試験も成績表も無い学校で、年間500人もの研修生を受け入れてきた。
一度に32人が研修できる全寮制の学院だ。

学院長夫人のヘレさんのデンマーク料理は最高においしい。
「ナイナイ (デンマーク語でNO) イイワヨー (日本語でYES)」おおらかなおかみさんです。
学院長は30年前、福祉を学ぶ為、シベリア経由でデンマーク入りし、
農家で働きながら、豚にデンマーク語を教わったらしい。(やはり、あの訛りは・・・・・)  

デンマークで資格をとり学院を開設。年に数回、日本へも講演に招かれている。
私が初めて学院長を見たのは、数年前、京都セミナーの会場。
壇上の先生は「教育と政治が変わらん限り、日本の福祉は変わらん!!」と。
「そんなものどうやって変えるん?」と思いながらなぜか心惹かれていた。
そして縁あって、今回のプログラムに参加できた。

研修のある休日、皆でドイツに小旅行。
着いた所はドイツの港町、フレンスブルグ。
「1時にこの車に集合。遅れて来ても1時には出発する」
先生は我々より先にスタスタと行ってしまった。

「どうする?」研修生4人。来た道を帰れば大丈夫。
すると街角でだれかが手招き
「日本人の方ですか?このお店おいしいですヨ」先生だ。
ニッと笑っている。 先回りして我々を安心して食べられるレストランへ。

誰も遅れず1時に集合し、次はリカーディスカウントショップへ。
ここで先生が買ったのはビール15箱、ワイン12箱。8万円程払った
のかも知れない。学院の地下倉庫は酒蔵だ。
お陰で我々は安いビールとワインにありつけ、毎日が酒盛りの日々だった。


デンマ−クで暮らす精神障害者

1)県立精神病院
フィン県には3つの精神病院がある。

オーデンセ大学病院・・・・125床
ミドルファート病院・・・・・64床
スエンボー病院・・・・・・・54床

人口45万人の県民に243床は決して少なくないが、入院日数は18日と短い。
地域精神医療斑が退院間近い患者を訪問し、退院後の社会復帰施設を決めるとの事。
訪問したスエンボー病院は閉鎖病棟14床、開放病棟40床で、保護室は無い。
閉鎖病棟は窓が10p以上は開かない様になっていた。
入院患者の35%が気分障害、30%が神経症、
20%が薬物・アルコール、15%が統合失調症であると。

デンマークでも100年前は1200床もある精神病院もあったが、
1980年〜1990年にかけて大病院は閉鎖され、
患者達は地元に迎え入れられた。
日本での法改正は1988年だから、
7〜8年の遅れはあるが、地域での受け皿には大きな差がある。

2)県立精神障害者グループホーム
重症の精神障害者の居住区である。 62人の住民がいる。
ほとんどの人が統合失調症で全員に入院歴がある。
1982年設立の建物で、長い長い廊下の両端に個室が並んでいる。

ここは古いタイプで、現在設立のグループホームは1人65uのアパート式になっていると。
職員は92人、 受け持ち制で住民4人に職員1人の3交代。

施設の目的は
「住民が自分自身の考えを持ち、安心できる居場所を提供する事」と。
ここに限らず、 どの施設を訪問しても、
必ず自分達の仕事の理念を自信を持って話す態度には脱帽である。

住民全員が早期年金をもらっていて、部屋代・光熱費・食事代を払っている。
薬は1万円までは無料。
職業についている人はいないがワークショップやデイホームへ行っている人もいる。
当施設でも、芸術・サッカー・水泳・陶芸等の設備がある。

日本に無い概念を整理しておこう。
日本で言う作業所がワークショップ、デイケアにはデイセンター(アクティブティ)とデイホームがある。
デンマークではこれらをデイサービスという。

3)県立精神障害者生活支援センター
住民12人の集合アパートの一室が生活支援センターになっている。
職員は5人で1人が住民3人を受け持つ。
夜間は不在で連絡も受けない。
症状の悪化時は家庭医に連絡、事件が起これば警察に住民自身が連絡する。

29歳のヘンライさんの一室を訪問。
非定型精神病ということだが、英語を巧みに話し、物腰もおだやか。
ハイスクール後発症、入院し退院後ここに来た。
「ここはどう?」に「とても楽しんでいる。

月と水はアクティブティに通っている。昔は恋人がいたが今はいない。
今日はホームデイの日で職員と一緒に部屋を片づけたり、買い物に行った」とバックを背負って見せる。
ホームデイで職員の支援があった為か部屋はきちんと片づいている。
60uはある。寝室、トイレ、キッチン、居間には大きなソファーがある。

これが現在デンマークで推し進めている
“すべての障害者に63uの居室を提供”
と言うものらしい。
だが職員によると、大病院時代に入院していた住民はこの広い部屋を使いこなせないと言う。
最もだ、日本では電話をかけられない、バスに乗れない人達もいる。

4)県立精神障害者工業作業所
通所者49人。男性が多い。
工場の下請け作業。ボルトとナットの接合・断熱材の袋詰め・メーターの組み立て等々。
職員は10人。
所長は元エンジニアであったと。

施設の目標「可能であれば一般企業に就職できるよう訓練する。
又日常の居場所を提供して、QOLの向上に支援する」 
疲れたら休む部屋もあり、フィットネスの部屋も用意されていた。

「障害者が充分に保護されている国なので、完成品の不備などは許されるのか?」
との私の的を得ない質問に「絶対に無い」と一笑された。

5)県立精神障害者アクティブティ(デイセンター)
フィン県に12か所のアクティブティがある。
当施設に34人が登録、毎日7〜8人が自宅、グループホーム、病院から来る。
職員は9人。

一日の流れ。
9時 朝食 パンを買いに行く人、コーヒーを入れる人と分担する。
その後は職員の介助で洗濯する人、入浴する人、喫煙する人、何もしない人等。
12時 昼食 弁当持参の人、買いに行く人さまざま。
金にはビンゴゲーム、月にはパーテイ等の予定もある。

ひとりの利用者に話を聞く
 このアクティブティに4年通った。パソコン・ヨガ・コーラスなどした。
 ここに来ない時はアパートにただ1人いる。
 統合失調症と肥満。入院歴がある。
 2週間に一回、地域精神医療班がアパートに来て、薬や状態の相談をする。
 12歳の息子がいる。発症したとき里子にだした。今は一緒に暮らしている。
 4年前より自尊心が強くなった。達成感を味っている。
 所属する居場所のあることは安心感につながる。

施設長に話を聞く
 私達は通所者を前にして、病気を見るのではなく、人間を見る。
 強い部分をバックアップすると弱い部分も付いてくる。
 自分の人生に責任を持って欲しいし、自信を持って欲しい。
 質問をして、その答えのなかに状態を読み取る。アクティブティはそのきっかけをつくる。
 閉館の9時にひとりで帰すのが不安な人が時々いる。
 病院に入院させるのでは無く1〜2日、泊まる場所を作る必要があると考えている。

生活指導員とカウンセリングの資格を持つイルセ施設長に頼もしさを感じた。


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