■溢れる花をあなたに (デンマーク編:2004年 4月17日〜5月14日)
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1)たったひとりの工場長
26歳の時交通事故に遇い、車椅子を余儀なくされたトーマス氏。
今は36歳という。仕事は障害者協会のパソコン関係。
住まいは田園の只中にある築30年の一軒家。裏には見渡す限りの麦畑が広がっている。
入口直ぐにキッチン、すべて物は車椅子で届くところに設置。
続いて居間、ワインが並び間接照明がおしゃれだ。彼の案内で、2階の寝室へ。
乗った箱は彼が自分で作ったというエレベーター。300万円かかったそうだ。
2週に一度ヘルパーが来て掃除をしてくれる。
再び1階に下りて裏に案内される。
スゴイ!! 乗用車がある、トラクターがある、船がある、
そしてエンジンの調整中だという車が2台、自転車、改造中の車椅子等々
まるで自動車工場さながら。
事故前はタクシードライバーだったという彼らしい趣味だ。
稼ぎがあるのであろう。早期年金はもらっていないと。
排泄はカテ−テルと浣腸を使っていると。
無い事はわかっていたが最後に聞いてみた
「こんな田舎にたったひとり不安は無いのか」
「無い。強いていえば火事になったときが不安だが、そんな事は大した事じゃない」
2)ヘンリー爺様は御陽気
「今日は知的障害の友人の誕生日だ。一緒に行こう」と千葉先生。
我々研修生はお花を買った。先生は手作りのケーキを用意している。

「こんにちは」「ハハハよう来たハハハ」
日本の祭りのハッピを羽織って、小柄な老人のお出迎え。
部屋に通されてビックリ。壁一面に額や写真、ポスターが張り巡らされている。
化粧箱には各国の人形、ベットの上にも数体の人形。まるで人形の博物館だ。
突然、「見るかい。見るかい」爺様、ズボンのチャックを下ろす。
良く聞くと人工肛門らしい。
ナースとして拝見させて頂く。 タダレもなく良く手入れされている。
衛生用品も棚にきれいに積まれてる。
「どうぞお大事に」とズボンのチャックを閉めるのを手伝う。居間に戻る。
爺様は冷蔵庫に頭を突っ込んで「チバ!ビールとジュースがあるがどっち出す?」
「ビールが良いじゃないか」と千葉先生。
ビールが1本ずつ配られて、クイズの始まり。
「今日、ヘンリーさんは何歳になったでしょう?」と千葉先生。
「当たった人には俺キスするヨ」とニコニコのヘンリー爺様。
「68歳」「70歳」「72歳」「76歳」 さあどれ?
運が良いのか悪いのか「72歳」と答えた私が当たった。
ヘンリー爺様が私の右頬にキスしてくれた。
「写真をとるからもっとやれ」と外野席。でも、さわやかなキスだった。
「チバ!姉さんも来るからコーヒーわかしてくれ」に「ハイハイ」と立ち上がる先生そして、
千葉先生が手作りのケーキを持ってやって来た。
アッという間に出来た。スポンジケーキにホイップを塗り、沢山のろうそくを立てた。
ヘンリ−爺様のうれしそうな顔。
「今日は生きてて最高に幸せな日だ」
そして、お返しにと、子供の頃覚えた唄が始まる。
爺様のお姉さんも到着。
60uの知的障害者に提供されたアパ−トから何時までも笑い声が続いていた。
3)赤いワゴンの貴婦人
「こんにちは」「いらっしゃい」
長いスカ−トに薄いセーター、金髪にイヤリング、
穏やかな笑みをたたえて電動車椅子に座る婦人がビアタさん。

生後まもなくに筋ジストロフィーを発症。
25歳より車椅子。現在46歳。
左の指が少し動くだけで、24時間の介護を受けている。
自分で広告を出して集めたヘルパーは皆資格を持っていない。
学校の先生、経済学の学生、魚の卸屋等で、週1回24時間の介護を引き受けている。
ヘルパーの給与は地方自治体が支払う。
今日の担当は若い男性教師。我々の為に自転車でジュースを買ってきてくれた。
テーブルにグラスを置いた手で、それとなく、
ずり落ちていたビアタさんの腕を車椅子の肘掛けに戻している。
部屋を見せてもらう。片づいている。
花も飾られ、壁には日本の色紙が飾られている。
2年前、千葉先生と日本に行ったとき買ったものだと。
寝室には介護用移動機が備えられ、就寝用エアマスク、隣室に眠るヘルパー呼び出しに用いる
細い糸はビアタさんの指に巻かれ、少し引くとベルが鳴る仕掛けになっている。
2時、外出の予定があるのでと。
ビアタさん「出かけるわヨ。窓閉めた?鍵かけた?パンツはいた?」
思わず笑う我々をおいて、ヘルパーの若先生「ハイハイ」と赤いワゴンの鍵を開ける。
「きれいな赤ですネ」
「そう、女王様とか女優達の花道って赤い絨毯ヨネ」
同行した車椅子の娘が言った。
「日本の福祉は障害者の為にあるけど、ここはみんなの為にあるんやね」と。
収入の50%〜67%は税金、日々の生活でも消費税は25%。
さぞ大変だろうと、聞いてみても皆「NO」と言う。
何かが違う。
千葉先生は言う
「この国は教育によって民主主義が根付いている。
自由、平等そして連帯感がすべての国民の支柱となっている」と。
日本も民主主義の国だ。自由もある、平等だと思っている。
そうか、連帯感が無い。「隣は何をする人ぞ」である。
又、千葉先生は言う「教育が違う。
良い点取れば良い大学へという競争社会には連帯は生まれない」と。
日本とデンマークの違いはわかったけど、どうする?
途方もない大きな壁の前で私はただ立ちつくすばかりだ。
イエイエこれが第一歩、歩みを進めただけでも私にとればスゴイ事。
私がデンマークで摘んだ花は両手に溢れるほどになりました。
不可能を可能にした千葉先生ありがとう。サーモンのお寿司は忘れない。
焼き豚のカリカリの皮最高に美味だった。 ヘレさん。やはりデンマークの母
毎日「困ったこと無い?」と聞いてくれた ジュンさん
可能なら講師依頼したいヨ モモヨさん
穏やかな笑顔がステキ 京子さん
「梓又来るゾ」やっぱり来てくれた 加藤さん・シュウ君・サクラちゃん
貴方の理論には参りました ベンツ施設長
親子どんぶりおいしかったヨ ナツミさん
ネパールとの交換研修待ってます イルセ施設長
又、日本に来てネ ヘンリー爺様
「さっきの右やった」のナビにも怒らず、レゴランド連れてってくれた 浩さん
「私って、アイドルみたい?」菜の花畑の成子さん
酒飲みに笊って存在するんだ 愛美さん
白髪で上品なおじ様と思いきや話せる大西理事
皆さん 本当にありがとう
広野の菜の花はもう稔りを迎えたかな?
広野の麦畑が黄金の輝きを放つ頃
又、行くかもしれないヨ 千葉先生!!

2004年5月20日 天岡憲子
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